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大阪地方裁判所 昭和48年(わ)256号 判決

1.

本店所在地 大阪市西淀川区佃四丁目六番二二号

青葉産業株式会社

代表者

代表取締役 堀内武治

2.

本籍 川西市花屋敷一丁目一、二一二番地

住居

同市花屋敷一丁目三四番一号

青葉産業株式会社代表取締役

堀内武治

明治三六年六月二二日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官岡島嘉彦、弁護人山崎薫、丸尾芳郎各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人青葉産業株式会社を罰金一、一〇〇万円に、被告人堀内武治を懲役一〇月に、それぞれ処する。

被告人堀内武治に対し、この裁判確定の日から一年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人青葉産業株式会社は、大阪市西淀川区佃四丁目六番二二号に本店をおき、昭和四六年一二月二二日以前はキンキメタル産業株式会社の商号で非鉄金属、特殊鋼の製造販売業等を営んでいたもの、被告人堀内武治は、右青葉産業株式会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人青葉産業株式会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、 被告人青葉産業株式会社の昭和四四年一月一日から昭和四四年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が九二、八七七、三五五円で、これに対する法人税額が三二、二六〇、七〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空仕入を計上するなどの行為により、右所得金額中五九、三八一、三二一円を秘匿したうえ、昭和四五年二月二八日大阪市西淀川区所在西淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三三、四九六、〇三四円で、これに対する法人税額が一一、四七七、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二〇、七八三、四〇〇円を免れ、

第二、被告人青葉産業株式会社の昭和四五年一月一日から昭和四五年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が一七一、七六〇、一九〇円で、これに対する法人税額が六二、八〇六、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中九四、三三八、四二一円を秘匿したうえ、昭和四六年三月一日前記西淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七七、四二一、七六九円で、これに対する法人税額が二八、一三七、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税三四、六六九、六〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

判事全事実につき、

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人堀内の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の被告人堀内に対する質問てん末書六通

一、堀内昇、池上勝の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の次の者に対する質問てん末書

宮脇幸吉、長谷川忠、堀内正幸(二通)、池上勝、林正博、土田民雄、鳶岡宗敏(四通)、堀内昇(六通)

一、堀内昇作成の確認書五通

一、大阪法務局登記官作成の登記簿謄本六通

一、被告人堀内作成の証明書二通

一、押収してある売上帳三綴(昭和四八年押第七〇六号の一ないし三)、検収伝票四綴(ヒタチメタル大阪関係、同押号の四)、検収伝票四綴(ヒタチメタル東京関係、同押号の五)、仕入帳三八綴(同押号の六、九ないし一二)、商品出納帳七綴(同押号の七、一三)、加工票二綴(同押号の八)

右のほか、

判示第一の事実につき、

一、西淀川税務署長認証の法人税申告書写(昭和四四年度)

判示第二の事実につき、

一、西淀川税務署長認証の法人税申告書写(昭和四五年度)

(法令の適用)

(一)  被告人青葉産業株式会社の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項に該当するので、情状により同法第一五九条第二項を適用したうえ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各所定罰金額(判示各逋脱額相当額)を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金一、一〇〇万円に処することとする。

(二)  被告人堀内武治の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項に該当するので、本件各犯行の動機、態様、結果、犯行後の事情、同被告人の年令、経歴等を考慮したうえ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処するが、同法第二五条第一項によりこの裁判確定の日から一年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおりとする。

(裁判官 堀内信明)

右は謄本である。

昭和四九年三月一六日

大阪地方裁判所第一二刑事部四係

裁判所書記官 槌屋喜久夫

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